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おそらのうえで。

おそらのうえで。

*時間なんて 距離なんて*



 「ゆう・・・や?」

 とある休日

 することもなく

 街をふらつく俺の名前を

 呼ぶ声が聞こえたんだ。


 「・・・ユキ?」


 3年前に別れた彼女、ユキだった。


 *時間なんて
      距離なんて*




 「久し振り・・・だね」

 
 人込みの中

 彼女は俺に気付いた。


 「ほんと、久し振り。元気してんの?」



 別れてからこっち

 お互い連絡を取り合うことも特にしなかった。


 「うん。そこそこにね。
   ゆうやは・・・元気そうだね」


 ユキの笑顔は3年前と変わってなくって

 俺はなんだか嬉しくて

 どこかほっとしたんだ。


 「まぁな。一人?」

 
 「うん。友達にドタキャンされてさ」


 「何?彼氏かなんか?」

 
 からかうような俺の質問に

 少し淋しげな表情を見せたんだ。


 「・・・彼氏なんて出来ないよ」



 
 
 “ゆうやにとって・・・私は何?”

 3年前。

 原因は俺の浮気だった。

 ちょっとした出来心だったんだ。


 “何って・・・彼女”


 さも当然のように返す俺に

 ユキは怒ることもなく

 ぽつりと言ったんだ。


 “「彼女」って形式だけだよね・・・。
    ゆうやは私のこと
   スキじゃないんだ・・・   ”


 “なっ・・・”


 言い返すことが出来なかった。


 付き合い出して2年。

 嫌いになったわけなんかじゃない。

 ただなんだか

 一緒にいすぎてて・・・



 “もう私が一緒にいなくたって
    ゆうやはいいんだよね”


 
 そう言って
 
 俺の前から去っていく彼女を

 引き止めることも出来なかった。




 「ねぇ、ゆうや」


 「・・・え、あ、何?」


 ちょっと回想に浸ってた俺を

 彼女はくすくす笑って見上げてた。


 「時間あるんだったら
   ちょっとお茶でもしてかない?」


 「いいねぇ」


 3年振りにユキと笑い合ったんだ。



 小学校の先生を夢みてたユキ。

 教育実習がもうすぐあるみたいで

 楽しそうに話してた。


 俺は今

 大学院への進学にむけて勉強していて・・・



 ほんっと

 くだらない話だってした。

 
 未だにユキは朝が弱くって

 慌てて階段を駆け降りて

 足を滑らせて落ちるらしい。

 先日落ちた時に出来たアザが

 今でも腕に残ってた。

 犬の散歩で犬に逃げられたり

 駅に荷物置き忘れたり

 
 あの時と何も変わっていない彼女。



 「3年経ってんのに
   ユキはなんも変わってないな」


 そう言って笑う俺に


 「ゆうやだって変わってないじゃん」


 ユキも笑って返した。




 ユキと別れて
 
 何人かのコと付き合った。

 でも長くは続かなくって

 ・・・その時やっと気付いたんだ。

 
 俺は結局

 ユキがほんとうに

 ココロから
 
 スキだったんだってことを。


 そして後悔したんだ。

 なんであの時

 言えなかったんだろうって。

 なんであの時


 “スキだ”


 “嫌いなわけないだろ”


 “行くな”


 “ずっと一緒に居て欲しい”


 “愛してる”


 コトバにしなければいけいないことが

 あったにもかかわらず

 どこかカッコつけてた俺。

 男が去っていく女を引きとめるなんて

 そんなかっこ悪いって

 思ってた あの時の俺。


   ばかだよな、ほんと。


 かっこわるい男かもしれない。

 でも

 引き止めるべきだったんだ。



 別れてから一度

 電話したことがあったっけ。

 でも

 もう使われていなくって

 
 そうだ

 この時俺は

 泣いたんだ。





 一気にキモチが

     こみあげてきた。





 「ユキ・・・?」


  もう遅いかも知れない


 「ん?」 


  でも

 もう後悔したくないから


 「・・・」


 言ってもいいかい?


 「どうしたの?ゆうや」


 「スキだ」


 「・・・え?」


 普段から大きな瞳を一段と大きくして

 彼女は俺をみつめてた。


 「ごめん。スキなんだ」


 3年もの時間があって

 見えない距離があった。


 でもココには

 あの時と何も変わらない君がいる。


 あの時と同じ笑顔を向けてくれる君がいる。


 
 時間なんて

 距離なんてふきとんで



 俺はまたユキに

     恋をしたんだ。。。




 「ゆうやのバカ」



 頭を下げる俺に

 ユキは予想外のコトバを投げた。



 
 「ほんっとバカ」




 顔を上げると

 そこには涙を浮かべた君がいた。




 「3年間の責任・・・とってよ」



 
 顔をくしゃくしゃにして

 泣く君がいた。




 「私、ゆうやがいないと
     ダメなんだから」



   俺はゆっくりと




 「うん」



   彼女の手を




 「もう離さないで」



   握り締めた。



 「うん」



   離すもんか。



 「もう一人にしないで」


   もう二度と



 「ずっと一緒にいるよ」



     離すもんか。









ホントにスキなら
告白してフられたって
まだぶちあたっていけるって
友達に言われたことがあります。

やっぱホントにスキなら
ちょっとくらいかっこ悪いことしてでも
捕まえておかないと後悔するって。


時間がキモチを風化させたり
距離が二人を離してしまったり。

でもそんなの関係なくなるぐらいの恋って
なんか・・・うらやましいなぁ。。。



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bbs

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